「上手な手紙1本書けないようでは、物書きになるのは諦めた方がよい」オハイオ州立大学大学院でジャーナリズムを勉強していた時、ある教授が口癖のように言っていました。そして、手紙を書くことがいかに creative writing の訓練になるかという話を熱っぽくした後で、ブロンド美人学生の方を向くと茶目っぽくウインクして、So write to me every day. と言うのでした。
creative writing というと、小説や広告のコピーのことを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、手紙ほど私たちの身近にあってwritingのよいトレーニングになるものもないでしょう。そして同時に、creativity を失いやすいものでもあるわけです。本屋さんに行けば、内容が似たり寄ったりの「英文手紙の書き方」の本が何種類も並べられています。そんな本から安易に文章を借用して手紙を書いても、誠意も説得力も得られません。
ドイツの哲学者Schopenhauerはこう言っています。The first rule for a good style is to have something to say; in fact, this in itself is almost enough. (よい文章の第1のルールとは、言うべきことをもつことである。実際、それだけでほぼ十分である。)
手本をなぞって手紙を書いていたのでは、いつまでたっても手本より上達することはありません。このコースでは、こうしたform letterの概念を断固排除して、受講生の皆さんに自分の頭で考えて英文を書く練習をしていただくことが主眼にあります。すなわち、与えられた条件の中で、人の真似でも翻訳でもなく、自由に英語で考えを表現する練習です。上手な文章に出会ったら、真似をするのは結構ですが、それをやがて自分のものにする努力が大切だと思います。
“日本式英語ではなく、外国人が受け取っても英語として十分に読めるか。”“冗漫でなく、パンチのきいた書き方で、しかもすべてのポイントをカバーしているか。”こんな点に注意を払っていただきたいと思います。外国語で書くことはロジカルに考えるということにもつながるので、readable writing と plain thinking の勉強にもなります。また、書き方の演習だけでなく、英文の背後にある英米人のものの見方などについても考えていただきたいと思います。
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