皆さんもご存じのとおり、この講座が対象とするコンピュータ関連分野は、猛烈な勢いで発展を続けています。しかし、残念なことに、最新技術も、最新技術を利用した製品も多くが米国から輸入されて日本に入ってきます。今後もしばらくはこの傾向が続くことになるでしょう。したがって、この分野の翻訳需要が、当面、増えることはあっても減ることはありません。そして、その需要を当て込んで、多くの翻訳者がこの分野に挑戦しています。
しかし、これまた残念なことに、クライアントや読者の要求を満たす翻訳技術をもつ人の数は少なく、ウェブページやソフトウェアのマニュアルには、わかりにくい翻訳文があふれています。きちんとした技術と知識を身につけ、着実な仕事ができる翻訳者は、まだまだ不足しているのです。
技術文書は、原文のもつ情報を漏らさず、それでいて翻訳であることを読者に意識させないよう、自分の言葉でわかりやすく翻訳する必要があります。このためには、文章力だけでなく、この分野に関する技術的な背景の理解が欠かせません。急速な発展を続けるコンピュータ関連技術のすべてを追いかけるのは、技術者にとっても容易ではありません。しかし、この分野の「幹」となる技術をある程度深いレベルまでしっかりと理解しておくことが大切です。主要技術についての確固たる知識があれば、その知識をもとに、実際の翻訳作業をする際に、「枝葉」を伸ばしていくことができるようになるのです。
この講座では、「幹」として、インターネット関連技術およびオブジェクト指向技術を選びました。これからの技術翻訳者に必須と思われるウェブページ作成用言語HTMLに始まり、オブジェクト指向開発、オブジェクト指向言語、XML、そして、これからの技術翻訳環境を変える可能性をもつ翻訳支援ツール関連技術などを題材として取り上げます。
たとえば、HTMLの構造を解説した文書の翻訳をとおして、関連用語の意味を知るだけでなく、例題の翻訳とその確認を行うことにより、HTMLを使った簡単なウェブページの作成方法を身につけます。また、ウェブアニメーションの作り方を書いた記事の翻訳をとおして、アニメーションの構造や作成方法を学びます。
このように、この講座では、「英日コンピュータコース」で紹介した知識をもとに、この分野の重要技術を、翻訳作業をとおして紹介していきます。その知識を生かして、自分の言葉でわかりやすく翻訳する技術を身につけていただくのがこの講座の最大の目的です。 |