現在、我が国の医学や薬学、さらに保健学や歯学などは世界のトップクラスのレベルを誇るが、これは明治の初期から多くの先達が外国の医学を導入し、学び、自らものにしてきた努力の結果である。我々は、まずドイツから、そして第二次世界大戦後は米国から医学を学んできたが、その際に優れた翻訳が大きな役割を果たしてきた。
この状況は、今でも変わっていない。医学の世界では英語が主流であり、ドイツの医学雑誌でも、そのほとんどは、英語の論文をのせている。さらに他の分野同様に、医学の世界も国際化の時代であり、全ての情報、新しい病気の概念、種々の判定基準や治療法などが極めて短時間の間に英文でわが国に入って来る。多くの医師、政府関係者、薬業界の人々、保健関連者、ナース、大学関係者などが、その翻訳文を待ちこがれている。
このような状況下で、最も不足しているのが、優秀な医学英語の翻訳家である。医学英語は、文章は極めて単純で、文法的には中学卒業レベルで十分である。問題は、医学の基本知識の習得と独特の医学用語と特徴のある表現法である。これは経験を積めば習得するに易く、一旦習得すれば、極めて簡単となる。もう一つの問題は、同様のことが、日本語にもあるということで、日本語の医学用語と表現法は極めて独特である。この場合、重要であるのは、その内容を頭の中でまとめ、それを、わが国で用いられている医学語で表現するという単純な作業である。これには、常日頃、わが国の医学書や医学論文に目を通して、その独特の表現法や医学用語を身につけるしかなく、少し努力し、一旦習得すれば、これほどやさしく、しかも満足感を味わうことのできるものはない。
今後、需要が益々増える医学英語の翻訳家を目指して、この講座をやりとげて、スタートして欲しい。
諸君らが、優れた医学英語翻訳家として、ニーズが益々高まっているこの世界で、大きく羽ばたかれんことを、心から期待したい。 |