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昨年新たに「英日出版総合コース ADVANCED」が開講しましたね。
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「英日出版総合コース」の受講生、修了生が対象ですが、上級コースというよりも、反復練習として利用していただければいいと思います。翻訳は人類が何百年、何千年をかけて編み出してきたもので、一度に全部身につけることは不可能ですから。
僕は武道が好きで昔やっていたのですが、テクストの翻訳の方法論も、武道の型みたいなものだと思うのです。型があるから、それに沿ってテクニックを磨くこともできるのですが、型だけでは闘えない。プロになるなら、いつかは型を乗り越えないと。繰り返し訓練を行うことで、こういうテクストの場合はこういう訳し方をすればいい、と判断できる目を養って欲しいですね。
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「英日出版総合コース」も「ADVANCEDコース」も、講座はプロの出版翻訳家への出発点です。自分の個性や能力に合わせて、それぞれの道に進んでいただく動機づけにして欲しいと思います。
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ところで、DHC通信講座の添削指導は丁寧できめ細かいと評判ですが、どのような印象をお持ちですか。
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翻訳の添削は字面だけの直し方をしてはだめで、それぞれの個性に合った赤を入れないといけないところが難しいですね。その点、DHCは受講生の個性を尊重して、丁寧な添削をされていると思います。
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毎回2名のスタッフが添削してくださる点もよかったですね。
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課題の添削のほかに、正確さ、表現力、構成力、商品性の5段階評価もあるので、自分の翻訳力を知るのにとても役立ちました。
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出版翻訳家になるためには、何が必要ですか?
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僕は最近水泳教室に通いはじめました。なぜかというと、森鴎外が新聞記者に「先生のような大文豪になるのに一番大切な条件は何でしょう?」と聞かれて、とっさに「そりゃきみ、体力だよ」と答えたという有名な話があるように、翻訳をするなら体力が一番だからです(笑)。
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体力のほかに必要なものは?
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難しい質問ですね。翻訳は、誰でも10年やれば、10年やっただけの効果は出ると思います。でも、プロになるには、金メダルを狙う出版翻訳家になるには、それだけではだめだと思います。理想を言えば、義務教育が終るくらいまでに日本語のリズム感が体に染み付いているといいですね。
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すでに中学生以上の人はどうしたらいいでしょう?
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あとは感動を覚えることでしょうか。これは素晴らしい作品だ、日本の読者に自分の言葉で紹介したい、同じような感動を伝えたい、というところから翻訳は始まるべきです。
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私の場合もそうでした。原作を読んで感動し、わーっと泣いて、「これを誰かに伝えたい」と思いながら訳しました。
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私だから訳せる、と思ったでしょう。
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そのとき、翻訳家は読者でありながら作家にもなっているのです。
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ターニー先生が以前、DHC翻訳新人賞の課題文のエッセイに書かれていましたが、先生は、漱石はよく訳されても、三島も川端も谷崎もおやりにならない。
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三島由紀夫に「なんで俺の作品は訳さないんだ」と言われたことがありますが(笑)、漱石の『草枕』のリズムが耳から離れなくて、三島の作品が英語になりませんでした。
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私もそのエッセイをおもしろいな、と思って読ませていただきました。それくらい原文のリズムや感性が訳者に乗り移るのですね。
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乗り移りますねぇ。
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レパートリーが広いのはいいと思いますが、音楽家でもバッハやモーツァルト、ベートーベンとそれぞれ専門家がいるように、なんでも弾かせてください、というのはあまり信頼されません。自分の体質にあった作家と作品に出会うように、日頃から心がけてたくさん読んでいるうちに、自分に向いたものがわかってくると思います。
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英日翻訳をする人は、どんどん日本の作品を読んだほうがいいですね。文学だけでなく、新聞でも何でもいいです。僕も変わった表現に出会うと「あっ、おもしろい」と今でも喜んでいます。
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