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グレッグ・アーウィンの「英語ことのはぐさ」

ことのは - ぐさ 【言の葉草】 1. 言葉による表現。また、和歌。 2. 話のたね。言いぐさ。

日本の童謡・唱歌の翻訳を通じて、日本語・日本文化の新たな一面を見つけましょう。勉強や仕事で「疲れたな」と感じたら、ぜひここに来てリラックスしてください。

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グレッグ・アーウィンさん
Vol.3 夏の思い出 〜When Summer Comes〜 2008.7

夏が来ると、楽しかった日々を思い出します。私にとって、夏は四季の中で一番楽しい季節、一番のお気に入りです。四季はそれぞれ好きですが、1年中夏でも大丈夫。ハワイに7年間住んでいたこともあり、寒さや雪がないことには慣れてしまいました。

アメリカの学生は、夏休みが3カ月間もあります。宿題や自由研究もありません。学生の親達にはストレスになるかもしれませんが、結構、一緒に楽しんでいます。私が学生の頃は、夏休みには芝刈りやアイスクリームショップの店員などのアルバイト(Summer Job)をしていました。ヨーロッパでは、会社員でも1カ月間の長いバケーションをとるのは珍しくありません。都会に住んでいる人たちは、人ごみを離れ海へ行きます。日本に住んでいる私たちにとっては夢みたいなことですね! もし私たちが1カ月も休みをとったなら、ほとんどの人が仕事を失ってしまうでしょう。

アメリカでは7月4日の独立記念日(Independence Day)は、ピクニックや花火大会でとても賑わいます。1年でこの日だけ花火が上がるのです。でも、長くてもたったの30分ほど…。花火が好きな私は、日本に来てから多くの花火大会があるのを知り、とてもショックを受けました。たくさん花火が見られる日本の夏祭りは大好きです。若いカップルが美しい浴衣を羽織り、スイカを食べる。暑い夏の夜は、屋上のビアガーデンに行く。こんな風景は他の国にはありません。日本の夏は最高です。

私が初めて「夏の思い出」という曲を聞いたのは、鮫島有美子さんの歌う「夏の思い出」でした。以前NHKの番組でご一緒させていただいたとき、その番組のリハーサルで鮫島さんがその歌を歌ったのですが、歌詞の意味がわからないのに涙が出て来ました。私自身とてもロマンチストなうえ、歌詞がわからない分、日本の人よりもその歌がよりロマンチックに聞こえたのだと思います。そのせいか、日本語の歌詞と比べると、私の訳した英語の歌詞の方がロマンチックかもしれません(あとで比較してみてください)。この歌詞を最初に読んだとき、尾瀬へ行った日に何か他に特別なことでもあったのでは、と感じました。「誰とそこに行ったのだろう?」「もしかして夏のロマンス?」などなど、いろいろとイメージは膨らみます。

実は、この歌を英訳する際に問題がひとつありました。それは「水芭蕉」です。英語ではなんと“Skunk Cabbage”(スカンクキャベツ)、信じられますか? 水芭蕉はとても美しい響きの言葉ですが、それを“Skunk Cabbage”としてしまっては歌のイメージが台無しです。さらに、1番では「咲いている」その水芭蕉は、2番の歌詞では「匂っている」…。Oh my God! 私には、とても歌えません。このような事情で、英語の歌詞では水芭蕉の描写をカットしました。この歌は、日本で最も愛されている夏の歌のひとつだと私は思っています。

「夏の思い出」は、江間章子さんの作詞、中田喜直さんの作曲により1949年に発表されました。終戦の4年後のことです。江間さんが亡くなる前、この曲についてお話する機会がありました。江間さんは、戦後の日本人の暗い心に日本の美しさを思い出させ、みんなを励ますためにこの曲を書かれたそうです。おかげで尾瀬は全国的に有名になり、今でもたくさんのハイカーや観光客が訪れています。江間さんの娘さんが当時アメリカに住んでいたこともあり、この「夏の思い出」の英語バージョンの完成をとても喜んでくださいました。そんなことを今でも懐かしく思い出します。

2008年の夏、皆さまに素晴らしい思い出ができますよう心から祈っています。もしかして、Summer romance があるかも? Happy Summer!

When Summer Comes
English Words by Greg Irwin

When summer comes I remember how it feels
Standing there in Oze, far, far away
The gentle shadows, the pleasures they reveal
As the fog is lifting, how I long to stay
That was long ago but our dreams last forever
Never ever will I stop remembering that perfect day
Flowers in bloom turned to colors of the sun
I'll remember always, when summer comes

When summer comes I remember it again
Standing near the water, gazing at the sky
Off on a journey and so much younger then
How the flowers blossomed, then, so did I
Deep within my heart, I will cling to that moment
Still I close my eyes just to realize that perfect day
The sweet scent of summer, a new dream has begun
I'll remember always, when summer comes

夏の思い出
作詞:江間章子 作曲:中田喜直

夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 遠い空
霧のなかに うかびくる
やさしい影 野の小道
水芭蕉の花が 咲いている
夢みて咲いている 水のほとり
しゃくなげ色に たそがれる
はるかな尾瀬 遠い空

夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 野の旅よ
花のなかに そよそよと
ゆれゆれる 浮き島よ
水芭蕉の花が 匂っている
夢みて匂っている 水のほとり
まなこつぶれば なつかしい
はるかな尾瀬 遠い空

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Profile
グレッグ・アーウィンさん

グレッグ・アーウィン

日本の童謡・唱歌を自らの視点で英訳し、100曲以上手がけている。日本各地でコンサート等の活動を行う他、テレビ・ラジオ・声優・司会など幅広い活動を行う。2002年に日本童謡協会『童謡文化賞』を受賞。2004年には舞台「お江戸でござる」「のど自慢」に出演。現在発売中のCD「Gentle Heart」(Akua Music)では多くの人の心の中に癒しと感動を与える。また、中学校副読本2(道徳)に本人が英訳した「紅葉」が掲載。現在、ランダムハウス講談社からCD付絵本『グレッグ・アーウィンの英語で歌う、日本の童謡』が好評発売中。DHC通信講座「日本人のためのリスニング講座〜発音上手は聞き上手〜」ではナビゲーター役を務める。
http://www.akuamusic.com こちらも要チェック!


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