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Interview room

第3回 翻訳の現場に迫る!≪翻訳家が作る辞書≫

翻訳者は、原文を理解したり英文を書いたりするための道具として英語辞書(英和、和英、英英辞典)と専門用語辞書を使用します。なかでも産業翻訳の現場で、日々英語と格闘している第一線の翻訳者が作った英語の最新用例辞典、 ビジネス技術実用大辞典 英和・和英版 は、「使える例文が豊富」「翻訳の実務にもっとも役立つ辞書」と大好評!!
今回は、そんな実務翻訳者の間で話題の“うんのさんの辞書”として親しまれる海野ご夫妻にインタビューしました。

海野 文男(ウンノ フミオ)さん 翻訳業 電気工学を学んだ後、米国の自動車メーカーの技術部門に勤務し、その後貿易会社に勤務。この間、海外営業、製品開発、英文・独文の製品取扱説明書などに従事。昭和57年英語の産業翻訳・メディア翻訳を始め、翌年独立。和英辞書では翻訳しきれない用語や用法が多いことから、同業の妻とともに実用的な英語辞書作りに取り組み、平成6年「最新ビジネス・技術実用英語辞典」を出版。
海野 和子(ウンノ カズコ)さん 翻訳業 商品科学研究所研究員を経て、大手電機会社のコンピュータ機器関連文書作成部門で編集および、翻訳に従事、のち技術英語の翻訳業で独立。
海野 文男さん、海野 和子さん 写真

辞書作りのきっかけ

辞書として世に問おうという気持ちにさせた根底は、日々の翻訳作業で生じるさまざまなトラブルが原因でした。 私は和英翻訳をしているのですが、せっかく作成した英文を、リライタが業界の表現を知らないがために不適切に直すことがたまにあったり、日本人の依頼主が徹底的に好みの日本人英語に書き替えてしまったりすることがあり、そういう時、根拠になる用例というのが一般の辞書などでは見つからなくて、「ネイテイヴでもその分野に詳しくない人だと、こちらが作った英文を間違って直してしまうことがある。そんなとき、もっと実務的な辞書があれば、相手を説得することもできるのに」と日々考えていました。

他の翻訳者にも仕事を依頼して翻訳するようなときでも、共通のデータベースとしての辞書があれば、後で大幅な直しをしなければならないような見当違いの訳が生まれる可能性を防げる。もっと翻訳の現場にいる人間にとって役に立つ、生きている言葉の用例をふんだんに盛り込んだ辞書を作りたいという強い思いがあり、本業の翻訳を休んでまでも辞書作りをしようと思ったのがそもそものきっかけですね。

出版に至るまで

イメージ翻訳業のかたわら、いつもTIMEや海外の文献から使えそうな英文の用例を見つけると、自分の勉強のためにノートに書き溜め、気づくと1982年から93年までの11年間で数十冊にもなっていました。単行本でもいいから出版してみようと思い、出版社に企画を持ち込んでみましたが、用例の編集作業が進む一方で、受け入れ先はなかなか決まらず、本業でもある翻訳をストップしていましたので、貯金はなくなり、結構大変でした。

最初の頃は大手出版社に企画を持ち込んでたのですが、出版するかどうかを検討していただくのに時間は掛かるし、著名な監修者が必要だと言われたり、英和・和英それぞれ数万円という定価でないと出せないと言われたりと、とにかく時間がかかる。

時間的、金銭的にも限界でしたので、ある日、新聞社にこの辞書の企画について手紙を送ったのです。そしたら記事として取り上げてもらえることになり、掲載された翌日に日外アソシエーツさんからお電話をいただきました。それも五八○○円という低価格でしかも現在は用例が多くなり、英和、和英と分かれていますが、その当時は英和、和英を一冊にまとめて出せるという条件でした。それまでの難航が嘘のようで、決まったときは嬉しかったですね。

『何万円もするような辞書では一般の人に買ってもらえませんからね。産業英語というと特殊な英語だと思われているようなんですが、そうではなくて普通の英語なんだということを一般の人にも知ってもらいたいということもありましたから、この価格でできるということは重要でした』と文男さん。

辞書づくりには終わりはない

現在、第4版まで刊行しましたが、まだまだ現在の内容には飽きたりません。『用例に関しても、もっといい例があったのではないかと思えるものがいくつかあったり、語句の選択や解説にも不満が残るものも結構あります。もっとコンパクトにまとめたい』と和子さん。これほど膨大な量をほとんど二人だけで時間に追われながら校正してきましたので、校正ミスが気にかかります。 『間違いや、変な用例だと思われるものがあったら、ぜひ教えていただきたい。』と文男さん。

この言葉から、この辞書に対する強い思い入れが伝わってくる、扱う用例も初版は7万語だったのが第4版では19万語までとなった。なんとしてでも、さらに充実した改訂版が誕生するように、この辞書が翻訳者や翻訳を学ぶ人、またビジネスで英語を必要とする人まで、多くの人にとってなくてはならない辞書となることを願わずにはいられない。

最後に

イメージ文男さんから。
「最初に就職した外資系電気業界で、仕事の能力はあるのに英語ができないために冷遇されていた人を見てきました。翻訳家の方だけでなく、少しでもそんなビジネスの第一線で活躍なされている方にもこの辞書を使っていただき、役立ててもらえたらと思います。また私自身も英語が出来るようになりたくて翻訳を始めましたので皆さんもあきらめないで是非頑張って下さい」

次ぎに和子さんから。
「用例づくりから始まった辞書なので、一般の辞書にある見出し語がない場合もあります。だからこの辞書ですべては事足りるわけではありません。英語の基礎が出来たらすぐ実践で使っていける、そんな実用的な辞書作りを目指しました。この辞書で是非、生の英語に触れて下さい」


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